鷹と高い木

判型
257 × 182 mm
頁数
54頁
製本
ソフトカバー
発行年
2025
言語
英語、日本語、フランス語
エディション
100
ISBN
978-4-908526-63-3

フランス生まれのNobuyoshi Takagiにとって、日本およびその文化とのつながりは、主に日本人の父を通して育まれてきた。現在、自身の人生を記録する長期的なプロジェクトに取り組むなかで制作された本書『鷹と高い木』は、父の移民としてのルーツをたどる、静かで夢のような一章を成している。

本作は、父の幼少期の記憶を辿る日本への旅と、トゥーレーヌ地方にある両親の住まいで撮影された写真によって構成されている。Takagiは、率直なスナップショットと比喩的なイメージを交錯させながら、思索的なシリーズを提示する。日本に生まれ、50年以上フランスで暮らしてきた父と、フランスに生まれ、日本人の父とフランス人の母のもとで育ったTakagi。二人はそれぞれ二つの文化の間に生きており、共有される二文化性は異なるかたちで立ち現れている。

2020年、彼の母(私にとっての祖母)が亡くなった。しかし新型コロナウイルスのパンデミックにより、私たちは家族とともに葬儀に参列することが叶わなかった。以降2024年まで、私はトゥーレーヌ地方に暮らす両親のもとを定期的に訪れ、彼らの日常を記録してきた。とりわけリビングルーム、キッチン、庭といった生活の中心となる空間にカメラを向けた。時を重ねるにつれ、それらの場所は次第に日本的な気配を帯びていった。蚤の市で見つけた品々や、日本から持ち帰られた家宝が積み重なる空間の中で、私は身振りや肖像、細部の断片を捉えている。

父がどのようにして母国の文化との日常的な結びつきを保ち、長い不在によって生じた空白を埋めているのかを、私は見つめ、理解しようとした。祖父から受け継いだ味覚としての料理、家族や友人との会話による言葉、書籍やインターネットを通して読み、聴く日本語。そうした営みの積み重ねによって、父は日々、日本のアイデンティティを生き続けている。

― Nobuyoshi Takagi(ステートメントより抜粋)