大阪ポートレートOsaka Portrait
CASE TOKYOでは、2020年1月10日(金)から1月25日(土)まで百々俊二の特別展「大阪ポートレート」を開催いたします。本展では、百々が1976年から大阪の新世界で撮影しつづけた作品の中でも、80年代初頭から二眼レフカメラにより撮影されたポートレート作品20点を展示いたします。
また、同時にNANZUKA(同ビル地下2階)では、東京・浅草で百々と同じくポートレートと街を撮り続けた写真家鬼海弘雄が1996年に発表した「や・ちまた」にフォーカスした展覧会が開催されます。東京と大阪、浅草と新世界、同時期に2人の写真家により撮影され表現された作品をご覧いただける貴重な機会になると考えております。
本展のオープニングレセプションは、2020年1月10日(金)18:00-20:00に開催いたします。皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
大阪の下町に育った私には、新世界界隈はむかしから親しい場であった。少年のころ動物園、美術館、映画館などの帰りジャンジャン横丁でころもの大きい串カツ、ドテ焼きなどよく食べた。
昼間から赤ら顔の男、いつも同じ場所に立っている女。
不思議な風景だった。
今も風景は変わらない。
<中略>
’76年から2年間この町を4×5インチカメラ、カラーで町や、物を撮った。(’78年・銀座・大阪ニコンサロン個展)それから3、4年35ミリカメラを片手に町を歩きスナップを中心に撮影した。
何か物足りなさが残る。冬に向かう時期だった。男たちにとって、厳しい時期を迎える。冬、生活が、素顔が全身に現れる。
今までも、仕事、生活は違っても生きる男を実感するいい顔とめぐり合うことがあったけれど、ただ眺めていたように思う。
ちゃんと向き合ってみよう、もっと触れたいと思った。二眼レフカメラで撮影を始めた。このカメラは、やさしいカメラで、ファインダーを上から覗くので、礼をする姿勢で相対する。シャッター音が小さく柔らかい。おっちゃんたちが「古いカメラやなァ。なっかしいなァ。」と話のきっかけを作ってくれることもあった。
ー百々俊二 写真集『新世界むかしも今も』から
Events
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オープニング・レセプション2020年1月10日18:00-20:00百々俊二も在廊いたします。
Artist
百々俊二 Shunji DODO
1947年大阪生まれ。九州産業大学芸術学部写真学科卒業 、同年東京写真専門学校教員に。1972年に大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ専門学校・大阪)教員となり、1998年同校学校長に就任。2015年には入江泰吉記念奈良市写真美術館館長に就任。写真家であり写真教育者としても写真と関わり続けている。
写真集『楽土紀伊半島』で日本写真協会年度賞 、写真集『千年楽土』で第24回伊奈信男賞。写真集『大阪』で第23回写真の会賞と、第27回東川賞飛彈野数右衛門賞を受賞。