New Photographic Objects 写真と映像の物質性
- 判型
- [ボックス] 194 x 275 x 37 mm
- [迫鉄平] 257 x 47 mm
- 60頁、ソフトカバー
- [滝沢広] 257 x 182 mm
- 16頁、ソフトカバー
- [Nerhol] 210 x 147 mm
- 64頁、ソフトカバー
- [牧野貴] 145 x 257 mm
- 18頁、蛇腹折り
- [横田大輔] 257 x 182 mm
- 38頁、リング製本
- [記録冊子] 257 x 182 mm
- 32頁、ソフトカバー、日本語
- 発行年
- 2022
- ISBN
- 978-4-908526-48-0
5冊組+記録冊子/箱入
『New Photographic Objects 写真と映像の物質性』は、埼玉県立近代美術館で開催された同名展覧会(2020年6月2日〜9月6日)に呼応する形で刊行。参加アーティスト4名と1組による展示作品を印刷物のなかで表現したアートブックとなっている。
本書デザインは、同展にNerhol(彫刻家・飯田竜太とのアーティストデュオ)として参加したグラフィックデザイナーの田中義久が手掛けている。
デジタル技術が加速度的に発展し社会に浸透した現代において、写真や映像という表現形態を選んだアーティストたちは、動画像編集ソフトによる加工や合成、コピーやスキャニング、さまざまな出力方法を用いたインスタレーション、ソーシャルメディアやフォトシェアリング・プラットフォームを利用した双方向的な手法などを複合的に駆使して、その表現言語を更新し続けています。新しいテクノロジーから伝統的な手法までがひろく選択可能性に開かれた状況から、写真と映像の可能性を拡張する意欲的な表現が次々に生まれるスリリングな場に、私たちは立ち会っているのです。
この展覧会で紹介する4名と1組のアーティストは、こうした状況をふまえつつ、メディアの物質性を重視した独自のアプローチによってこの領野に新機軸を打ち出しています。数百枚の写真を積み重ねて切断した断面、くしゃくしゃに折りたたまれたプリントの物理的な襞、映像から立ち上がる観る行為に潜在する触覚的な要素など、彼らの作品における特徴的な物質性は、単にフェティッシュなこだわりによるものではありません。おのおのが用いるメディアの歴史や特性、機能に鋭く分け入り、それを更新するための戦略によって獲得された性質なのです。
彼らの作品をラディカルな再考と更新をめざす「新しい写真的なオブジェクト」と措定し、著しい速度で変化する現代の写真表現・映像表現の一断面をとらえることがこの展覧会のねらいです。それはまた、私たちをとりまく今日の視覚環境について、深く考えを巡らせる絶好の機会となるはずです。