海辺のカノン
鵜川真由子
- 判型
- 247 × 168 mm
- 頁数
- 120頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年2024
- 言語
- 英語、日本語
- ISBN
- 978-4-908526-57-2
海からの授かり物を頂き、それらが形を変えてまた海へと帰って行く。
繰り返すサイクルの中で私たちは生かされているのだ。
それはまるで、海が奏でるカノン(追復曲/輪唱)のようだ。
― 鵜川真由子(本書より)
生命の源としての海。ポートレート、スナップ写真、浜辺に打ち上げられたオブジェの写真のなかに、鵜川真由子は自然の循環性を描き出し、世界の広大さを示唆している。
コロナ禍を機に神奈川県茅ヶ崎市に移り住み、現在海から徒歩数分の場所で暮らす鵜川。「私はそれなりに都会で生まれ育ったため、生活の中に大自然が存在すること自体が新鮮であり、驚きの連続でもありました」と述べる彼女は、2021年から海へと通いはじめ、目の前で起こっていることを4つのトピックに分けて撮影をしてきた。2023年、浜辺の漂着物を撮ったシリーズ「Portraits」を発表。続く本作「海辺のカノン」では、空と海と、自然に寄り添われて生きる人々の暮らしを3部構成で描いている。
「きっかけは浜辺で見つけたカセットテープでした。砂まみれのその姿からは、おそらく長い年月海の中を漂い続けていたことが伺えます。いつ、どこから来たのかも分からないけれど、誰かの思い出ごと私の元へと辿り着いたのです。このとき、時間の概念が厚い層になっているように感じました。海の上に広がる空には、昼の終わりと夜の始まりが同時に存在しています。そして今よりずっと以前から繰り返されてきた人の営みは、寄せては返す波のように幾重にもなり、自然の大きなサイクルの中で巡っていくのです」
― 鵜川真由子