Cosmo-Eggs(英語版)

服部浩之下道基行安野太郎石倉敏明能作文徳
判型
283 × 240 mm
頁数
158頁
製本
ソフトカバー(リング製本)
発行年
2019
言語
英語、日本語
ISBN
978-4-908526-27-5

2019年5月11日から11月24日にかけて開催中の「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」日本館展覧会「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」の公式カタログ英語版。ブックデザインは「The Tokyo Art Book Fair」や「Takeo Paper Show」などのアートディレクターである田中義久が手掛けている。展示風景と出品作家4名の制作ノートを軸に構成され、作家それぞれの制作過程と作品世界を再現。アートディレクター・作家・キュレーター、そして出版社・印刷所・製本所が手を携え(本展のテーマの一つとも言える“協働”がここでも体現されている)完成した本書は、“本”というメディアで新たな表現を追求した一冊に仕上がっている。

展覧会のタイトルでもある「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」という概念は、「宇宙卵(Cosmo-Eggs)」から世界は誕生したという神話学における「卵生神話」をもとに、人間/非人間の共生や、複数の神話/歴史の共存という主題を喚起させるイメージを孕むもの。また、本展では「協働」も重要な要素となっている。集団(コレクティブ)で取り組むことの今日的意味や課題、複数的な思考や共生のあり方を探求。それとともに、アーティスト・イン・レジデンスなどの機会における作家同士の触発が生む未知の想像や実験の可能性などを考える。

本展には、韓国の光州ビエンナーレ2012や台湾のAsian Art Biennial 2013などグループ展への参加経験が多数ある美術家の下道基行、映像に映ったものを言葉で描写していくパフォーマンス「音楽映画」シリーズや、西洋音楽でも民族音楽でもない音楽「ゾンビ音楽」を代表作とする作曲家の安野太郎、芸術人類学・神話学を専門とし、『野生めぐり 列島神話をめぐる12の旅』など書籍も執筆する石倉敏明、2016年開催のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示にて特別表彰を受けた若手建築家の能作文徳が参加。キューレターは秋田公立美術大学大学院准教授の服部浩之が務める。

「私たち人間は、産業革命以降異常な勢いで地球上に都市生活の場を拡張し、環境にも大きな影響を及ぼし、様々な動植物を絶滅の危機に追いやっています。しかし直径約12,700km という地球の大きさや 46 億年という長い時間を考えると、人はとてもちっぽけな存在でもあります。そんな地球という時空間において、人がいかに動植物や土地と関わり生きていくことができるか、思いを巡らせ思考する場を築きたいと考えました。様々な自然災害や人災に見舞われる日本に暮らす私たちが、地球という生態系における人間存在そのものを改めて問い、人間と非人間の共存や、限界が露呈しはじめている成長志向の社会を再考し、新たな暮らしのあり方を提示していくことはできないでしょうか。

展覧会はアーティストの下道基行が 2015 年に沖縄の八重山諸島で出会い、数年間リサーチと撮影を続けている「津波石」を起点とします。津波石は、大津波により海底から陸上に運ばれた巨石で、世界各地に散在します。災害の記憶を留める自然石でありながら、時には地域の信仰の対象となり、神話や伝説の一部となり、渡り鳥のコロニーや昆虫の棲家となって、自然と文化が混ざり合った独特の景観を形成してきました。下道は、隕石や巨大な卵のようにも見える津波石を広場、あるいはモニュメントに喩えます。下道の作品《津波石》を軸としながら、広場であるという思考を拡張し、作曲家、人類学者、建築家と協働することで、静かで穏やかな視覚世界に音楽が響き、ことばが重ねられ、統合された一つの空間に多様な身体経験を生み出します。一人の作家が国を代表するのではなく、異なった職能をもつ専門家の集団(コレクティブ)によって、現代の根源的課題を想像し思考する体験の場をつくることを試みます。」ー服部浩之(キュレーター)によるステートメント