本展では、村越の作品集『沈黙の中身はすべて言葉だった』と『月に口笛』の刊行に合わせ、2011年から2015年にかけて撮影されたパノラマサイズの作品3点を展示いたします。また、“刷り出し”や“束見本”といった、作品集の制作過程でしか見ることができない付随物を同時に展示することにより、写真とデザイン、印刷・製本技法がどのように相互作用し、強度を生み出すかを垣間見ていただける構成となっております。
福島県須賀川市出身の村越としやは、東京に拠点をおきつつ、2006年以降故郷を被写体に選び、静謐でありながら力強い風景の中に、そこで過ごした自身の記憶をなぞるように継続的に撮影を行っています。2011年に起きた東日本大震災、そこで感じた「写真を撮る」ことへの葛藤。作家自身に去来した想いとその狭間を、二冊の作品集が浮かび上がらせます。

「沈黙の中身はすべて言葉だった」は、2011年から2015年にかけて地元の福島県内で撮影。「月に口笛」は、2004年から2005年に目的地を決めずに日本各地を鈍行列車と徒歩で移動し撮影した写真群です。地元を写し撮ることが、経験や知識という後から身につけたもので、自分自身の生まれ持ったモノやコトを削りとり、最後に何が残るのかを追求することならば、それ以外の地域を撮ることは、生まれ持ったモノやコト、そして経験や知識からあらたな好奇心や興味を見つけだし、自分自身をどこまで膨らますことが出来るかを、試していることだと思っています。写真を初めたばかりの時期と、写真を続けていくと決めた時期、人生の大きな岐路となった時期の写真たちが写真集になり、同時期に刊行されることが新たな岐路になるような気がしています。

−村越としや、本展に寄せた文章より

Artist

村越としや Toshiya MURAKOSHI

1980年福島県須賀川市生まれ。2003年、日本写真芸術専門学校卒業。2009年、東京・清澄白河に自主ギャラリー「TAP」を設立。2011年日本写真協会賞新人賞、2015年さがみはら写真新人奨励賞を受賞。東京国立近代美術館、サンフランシスコ近代美術館に作品が所蔵されている。

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